猫背のバイオメカにクス


stage02と猫背の傾向


stage02はお腹を前に突き出し、弓のように身体を反らして、身体の背面により大きな張力(カウンターアクティビティ=C.A.)を取ろうとする姿勢です。脊柱がすこし硬くなっている証拠です。

stage02の姿勢

すこしお腹を前に突き出し肩を後方に引いた姿勢は、腰部だけでC.A.を作くるのが苦しいということを無意識に表現しているのです。

腰に、stage01以上に強い「そり」の圧力がかかるため、腰椎の関節障害を起こす危険が高くなります。

猫背の傾向が進むのも特徴です。お腹を前に出すとどうしても背中は丸くなり、首は前傾します。頭部を引き起こすために首の背部にたえず強い力が必要になります。

下に示したのがstage02の首の特徴です。頚椎7番、胸椎1番が硬く後方に張り出すと同時に、頚椎部の前彎が強くなってきます。頭を引き起こすために強い力が必要になって、このような姿勢が生まれます。これは、「大切な姿勢の影響」で紹介したのと同じものですが、この時、反りすぎた頚椎部で神経根症が発生します。

眼精疲労、頭痛、睡眠の質の低下、腕の痛み、首の痛み、肩こりなど、いすれもこのような機能的姿勢を土台に発生してきます。

猫背と頚椎部の関節異常 では、どのようにこのような姿勢の問題を改善してゆくのかを考えてみましょう。

問題となるのは脊柱です。脊柱は、日ごろ、さまざまな動作の支柱の役割をはたしています。さまざまな日常動作は、脊柱の関節をしっかりと固定することで成り立っているのです。

「動き」を生み出すためには、かならずなんらかの「支え」が必要です。この「支え」を作るのが脊柱の役割です。「支え」がしっかりしていなければ、安定した細かな力や、しっかりした強い力を生み出すことはできないのです。

この時、大きな役割をはたしているのは椎骨に密着した深層筋です。

深層筋は一般的に遅筋という性質を持っていて、瞬発力には乏しいものの、持続的に活動するのに適しています。酸素を運搬する酵素(ミオグロビン)を豊富に含み、その結果赤みを帯びています。有酸素運動をする能力にすぐれた筋肉なのです。

長時間の使用に適している深層筋ですが、長きにわたって固定されていると、解放されてもなかなか元も弾力性を回復しにくくなるのも深層筋の特徴です。長時間にわたって。「支え」の仕事に従事している脊柱は、このようにして次第に硬くなってくるのです。

機能的姿勢の改善を図るためには、。深層筋に働きかける刺激でなければならないのです。


無意識に膝をまげたstage03


stage03の大きな特徴は、立ったときに無意識に膝が曲がってしまうことです。「膝を曲げて立つなんて、太ももが苦しくないのか?」と感じるかもしれませんが、stage03の方にとっては、膝を伸ばす方がつらいのです。といっても、こちらから指摘するまでは、ご自分の膝が曲がっていることに気づいていない方がほとんどです。stage03の膝曲がりは、無意識の防衛姿勢だからです。stage03の姿勢

膝を伸ばすと腰に痛みが発生するので、無意識に膝が曲がってしまうというのが、stage03の方の特徴です。

下図をご覧ください。上で紹介したようにstage02のように、腰を反らした姿勢は、、骨盤と腰椎との接合部には強い負担がかかります。腰が硬くなってきて、お腹を前に突き出しているのですから当然です。こうして腰椎5番(以下、L5と略記)が前方に押し出されるようにして神経根症を起こします。このことがstage03の姿勢を特徴付けているです。

背後から背骨をさすり下げるとL5のところで背骨がぼこっと沈んでいます。腰を反らす(伸展する)と痛みや不安感があり、長時間立つと腰が痛い、朝起きたときに腰が痛い、足の裏がいたい、足がしびれるなどがstage03の特徴があります。

stage03の膝曲がりは、腰の反りを無意識に避けようとする姿勢です。

一般に過敏性大腸として知られる急性の下痢も、L5の神経根症によるものが少なくありません。立っている時間が長くなると急に便意に襲われるのが特徴です。

腰椎のすべりによる神経根症またトイレが近い、痔ろうや生殖部の感染症にかかりやすい、ちょっとした精神的緊張やストレスでお腹を下してしまうという方も、身体をそらして腰に痛みや不安感がないかどうか確かめくざさい。

慢性腰痛の方はほとんどstage03の傾向を持っています。局所的な「もみほぐし」などではなく、全体的な機能的姿勢の改善が必要です。日ごろの運動習慣や就寝時のポーズ、ご自分でできる矯正体操も活用していただくことが好ましいのです。

stage03のもうひとつ重要なポイントは、身体の重心が次第に後方より(踵より)へと移行してくることです。これによる、下肢の機能低下についてもをよく理解しておきましょう。