頭痛のメカニズムと対処法02
自律神経が関与する頭痛
拍動しない頭痛の場合
拍動しない頭痛は、頭部の筋肉に分布する脳神経系の緊張に原因があります。
とくに、前頭部に発生しやすいもの(三叉神経によるもの)、側頭部に発生しやすいもの(顔面神経によるもの)、後頭部に発生しやすいもの(後頭神経によるもの)、頭部全体に発生するもの(三叉神経の作用が強い)といった区別があります。
いずれの場合も、頭部に分布する自律神経が相互に影響しあって、幅広く緊張した状態にありますので、症状を見ながら、実際に緊張が発生している神経経路をくまなく鎮静してゆくことが効果的です。
頚部には、代表的な副交感神経である迷走神経、星状神経節から上行してくる交感神経系のように、重要な自律神経の枝があります。
とくに下顎の後ろのあたりで、ちょうど頚椎1~3番の前方に当たる位置に、迷走神経の下神経節と上頚交感神経節が並んで収まっている部位があります。
頭部の神経系はとくに三叉神経を中心にして、多くの神経が影響しあって緊張してくるところに特徴があります。症状のあらわれ方には個人差があって、ここで取り上げたような頭痛としてあらわれてくる人もありますし、めまいや耳鳴りが強くなる人、歯」の痛みとなってあらわれる人、肩こりが強くなる人などタイプがあります。
いずれの場合も、重要になるのが迷走神経の下神経節です。ここは頭皮の筋緊張や知覚と関連の深い顔面神経や三叉神経との連絡枝をもっていて、興奮させるとかえって症状を悪化させることがあります。神経が鎮静するようによく注意して調整しましょう。
鎮静するポイントには、?頭部全体に軽さがひろがって行くような感覚がある、?全身の力が抜けリラックスして眠くなるような感覚がある。といった特徴があります。脳神経系については、たえず鎮静を図るように調整なければなりません。実際に調整を受けられると、心地よくて思わず眠ってしまう人がすくなくありません。
頭部の調整の大切さ
この領域の緊張は、自律神経系やホルモン系の中枢である脳の緊張と深いかかわりがあります。このため、どのような症状に対しても、この領域の緊張を整えておくことが必要です。
とくに、症状の発生に気候の変動や、性周期との連動、消化器の働きなどの影響が見られる場合は、自律神経系やホルモン系に配慮しながら全身のバランスを調整します。
頭脳系は、自律神経系や運動能力など、あらゆる心身の機能を統合し高度な調整をおこなっている場所ですから、かならず状態をチェックし、よい状態に整えておく必要のある重要なポイントなのです。
身体が十分な休息を取るためには、起床時と睡眠時の自律神経系の交代がしっかりとめりはりがついていなければなりません。「昼間なのに横になって休みたい」、「夜寝ているのに眠りが浅くすぐ眼が覚めてしまう」、「目覚めの時にスッキリした心地よさがない」こういった状態は身体にこたえるだけでなく、精神的のも大きなストレスになります。
このような状態こそ、「よい休息・よい睡眠をとりたい 」で紹介した疲労を感じやすい状態、ストレスに耐えられなくなる状態です。このような時、しばしばこめかみ(蝶形骨の大翼)に強い熱感を生じていることがあります。
じつは、先に紹介した迷走神経は頭蓋骨の内部にも分布し、とくに後頭部の痛みや重さの感覚と関係しています。後頭部のこまかな筋肉や神経の経路を調整すると、こめかみの強い熱感が消失し、全身が軽くなってきます。