姿勢のもとになる遠心性収縮


身体がどのように動くかを知ろう


 

姿勢の4類型

これまで紹介してきたように、誰もが長い人生のなかで機能的姿勢の変化を通り抜けなければなりません。

機能的姿勢の視点を持つことで、さまざまな身体症状が姿勢の変化と密接に結びついているのがお分かりになると思います。

肩こりや腰痛、腕の痛みやしびれ、頭痛・頭重などの症状は、日常生活やお仕事などによる姿勢の変化のなかで発生し、ほっておくと次第に一過性のものから次第に慢性的なものへと変化してゆく傾向があります(やすらぎ創健堂の施術は、この機能的姿勢の改善のうえに成り立っています)。

ぜひ、日常の生活のなかで機能的姿勢の考え方を生かし、症状を克服してゆくためにご自分なりの工夫をしていただきたと思います。ここでは、そのことについて解説してゆきます。

重要なポイントが、小さな関節運動についての理解です。

身体に動きを作るためには、かならず支えとなる部位が必要です。問題となるのは、この支えを作っている部位です。このような部位は、長時間にわたって関節が固定される傾向にあります。

深層筋が主体になるので、持続力があり痛みが出にくい反面、気が付くと関節が硬くなってしまいます。

機能的姿勢は、このような身体の変化を教えてくれます。大切なのは、まず腰の柔軟性を回復することです。

機械とは違い、人間の身体には、「使うところは代謝がよくなって発達し、使わないとことは代謝が低下して衰える」という傾向を持っています。軽くても結構ですから、歩く、伸ばすなど、スポーツや運動的な要素を日常生活に組み込んでいただきたいと思います。

ただし、痛みの出るような運動やポーズでは柔軟性の回復には結びつきません。「やっかいな腰痛01~03」では、もっとも多い神経根症の痛みに対するリカバリーの運動をまとめてみました。ご参照になって実践してみてください。


遠心性収縮と身体の動き


 

歩行動作と大腿四頭筋実際に運動や姿勢の改善に取り組むにあたって、まず姿勢や動作の運動のリズムを知りましょう。わたしたちの身体には、本来こうあるべきというエネルギーの流れがあります。上に示したのは、実際の歩行動作における筋肉の活動の様子です。筋肉トレーニングやストレッチングをご存知の方なら筋肉の働き方が、教科書的な記述と逆転しているのがわかると思います。

レッグエクステンション 教科書では、一般に大腿四頭筋は「膝を伸ばす筋肉」とされています。大腿四頭筋の筋力トレーニングとして一般的ななのがレッグエクステンションです。椅子に座って膝を伸ばします。

しかし、上の図では、これとは逆に膝が曲がるとき(足に体重がかかるとき)大腿四頭筋が使われていることを表現しています。じつは、わたしたちの日常動作は、この上の図のように働いているのです。

筋肉の活動には、求心性収縮と遠心性収縮の二つがあるのはご存知ですか? レッグエクステンションは求心性収縮、歩行動作は遠心性収縮で、ともに大腿四頭筋を使っています。これまでのスポーツ理論は、ほとんどの場合求心性収縮このとばかりが紹介されてきたのです。

マシーンを使ったパワートレーニングの多くは求心性収縮ですが、走り込みは、遠心性収縮を使ったトレーニングになります。

みなさんにぜひ活用していただきたいのが、この遠心性収縮を使った運動です。ウォーキング、ジョギング、縄跳びなどすべてこのタイプの運動になります。身体の重みを負荷にした簡単な運動ですが、トレーニング効果が高いだけでなく、身体の代謝をより高めてくれる作用があります。歩行動作とエキセントリック収縮

遠心性収縮には、求心性収縮にはないすぐれた特性があります。身体の重みで引き伸ばされた筋肉の腱に大きな弾性エネルギーを蓄え、その弾性エネルギーを身体を前進させるエネルギーとして利用できるのです。

大切なことは、この弾性エネルギーがしっかりと身体の正中線を抜けるようにしておくことです。関節の能力を支えている腱や靭帯、椎間板は、関節が伸縮されることで新陳代謝が高まります。機能的姿勢をよい状態に保つ上で、このことがとても大きな意味を持つのです。

わたしたちは、身体に本来備わっている運動機能を、もう少し有意義に使うよう心がけるべきなのです。