腰曲りを改善しよう


腰曲がりの影響を理解しよう


 

stage04の姿勢機能的姿勢のstage04は円背姿勢とも呼ばれます。背中が丸くなって腰が伸びなくなるのが特徴です。だれもが、加齢とともにstage04へと移行します。しっかり歩いて快適な日常生活を送れるよう工夫したいものです。

stage04では、後荷重の傾向や猫背、頚部の前傾・前彎傾向が強くなります。その結果、発生しやすくなる症状があります。

肩こり、首の痛み、視力の低下、張力の低下、腰の痛み、そして歩く時に歩幅が出ない(早く歩けない)にといった問題です。

この姿勢は、立位姿勢や歩行動作などの安定性が低下するので、日常生活での体力の消耗が激しくなります。

これまでの姿勢と違うところは、無意識に姿勢の歪みを補正しようとする動きがでることです。身体を前に倒している姿勢は、長く続けるにはきつい姿勢です。多くの方は、立位のときは身体を起こし、傾きのないポーズになります。このため、たんに外観のみでは体型の特徴が捉えにくいのが特徴です(下図参照)。

しかし、実際に手を触れてみると胸郭や肩甲骨が硬くなっています。とくに腰方形筋という筋肉が付着する第11・12番の肋骨(附肋骨)が緊張して硬くなっています。

stage04の姿勢の特徴 これは脊柱の弾力性が次第に低下して、深層筋だけでは姿勢を支えられなくなってくるためにあらわれてくる特徴です。日常的な姿勢保持や歩行動作において表層筋を活用する機会がふえ、その影響で胸郭や肩甲骨が硬く固定されてくるのです。

速筋で瞬発力にすぐれた表層筋ですが、疲れやすく痛みを発しやすいのが特徴です。ですから、あまり長い時間の作業はさけ、日常生活のなかに、休息時間をしっかりとるようにしましょう。

脊骨全体の弾力性の回復を図り、「円背」や「腰曲がり」の傾向の改善を図れば、姿勢や動作の改善とあわせてさまざまな症状も改善されます。

硬くなった背骨はなかなか元に戻らないと思われている方が多いのですが、関節の柔軟性は想像されているよりかなり柔軟です。背骨の動きが出てくると、自然に身体が起きて、さまざまな症状が軽くなってきます。あきらめずに前向きに捉えていただきたいと願っています。


円背を改善して快適な生活を


 

stage04の姿勢と頚部の後彎この姿勢になってくると、「プロの目から見た猫背の問題点」で紹介した猫背の傾向がより強くあらわれてきます。肩口の頚椎7番、胸椎1番(C7・T1)がいっそう強く後方に張り出し、首の前傾が強くなります。その結果、上方を見上げたり左右を振り返る動作がおこないにくくなってきます。頚椎の前彎が強くなるので神経根症による肩こり、首の痛み、手のしびれ、頭痛などが起きやすくなります。

とくに多いのが、視力の低下です。人によっては、上まぶたがあがりにくくなると訴える方もあります(上眼瞼下垂)。

レンズの厚みを調整する毛様体をコントロールする神経が、肩口から発しています。若い方であっても、猫背が強くなると視力が低下したり、上まぶたが上がりにくくなるのは、このためです。

上眼瞼挙筋の筋力検査 実際に目を閉じて、手で押さえたまぶたのなかで、上方を見上げてください。わざと猫背にと、上まぶたの上がる力を大きく低下するの分かります。

猫背になると、このほかにも頭部全般の自律神経機能に影響が表れてきます。視力や聴力の低下、持続的な頭痛、声がれ、嚥下の障害、いびきや睡眠時の呼吸の障害などにも、猫背による神経や気管の圧迫が大きく作用します。

歩行動作では後荷重の傾向がいっそう強くなります。このため骨盤が後傾し、外股の傾向が強くなってきます。この傾向が進むと、膝の運動ラインが保てなくなり、太ももの筋力が十分に生かしにくくなって早く歩けなると同時に、膝の痛みが発生しやすくなります。

大切なことは、背骨の弾力性を高め円背・腰曲がりの少しでも改善することです。一度固くなった背骨は元に戻らないものとあきらめがちですが、かならずしもそうではありません。

背骨に密着した深層筋の緊張を一つ一つ丁寧に解消し、骨盤と背骨を結びつける腸腰靭帯の弾力性を回復すると、背骨の弾力性は大きく改善されます。その結果、姿勢の改善や生活行動の改善を図ることができるのです。

「背筋が伸びた」と感じられるような状態になると、さまざまな症状に改善があらわれてきます。