デスクワークが腰痛にもたらす影響について


デスクワークと腰痛


パソコンの普及により、多くの職場でデスクワークの時間が長くなりつづけています。その結果、腰痛や足の痛み、肩こりや首の痛み、眼精疲労、身体のこわばりなどに悩むひとが、多くなっています。どこに問題があるのかをしっかりと理解して、健康維持に役立ててください。image_lumbago01

長時間のデスクワークの後、しばしば腰が伸びにくくなります。これは腰椎と大腿骨をむすぶ腸腰筋という筋肉群が短縮するためです。脊柱は前側に強く引っ張られ、腰を丸めた座位の状態がもとに戻らなくってしまうのです。

なんとか腰を伸ばして立ち上がったとしても、短縮した腸腰筋の影響で脊柱にはかなりの張力が発生します。そして腰椎の関節間の柔軟な動きを妨げられるようになります。このようにして、腰痛や神経の圧迫からくる下肢の痛みや痺れ、違和感の原因がつくられます。

「機能的姿勢を知ろう!」で紹介したように脊柱は、わたしたちの姿勢の根幹をつくり独特な形を持っています。脊柱の柔軟性が低下すると、姿勢全般にその影響があらわれ、例えば頚部や後頭部、骨盤の外側のラインなど、にも緊張が生まれてきます。

さらに左右の荷重のかたよりが加わると、片側の肩背部が異様にこわばった感じが生まれたり、顎の動きや目の大きさ、鼻づまり、消化器の調子にも影響がでてきます。

そのような時は、まず脊柱の柔軟性を十分に回復することが大切です。なぜ腰が硬くなるのか、その結果、なぜさまざまな症状があらわれてくるのかを理解して、的確に対処できるようになりましょう。


腸腰筋膜症候群


腸腰筋と腰曲がりの関係腸腰筋の緊張がもたらす影響は腰部の前弯・後弯の2種類があります。長時間、腰を丸くしてデスクワークをしていると、しばしば後弯を生じてきます。いわゆる腰まがりの状態です。

腸腰筋は、長時間のデスクワークで短縮した状態に置かれます。腰椎の関節は前側を狭めた前傾位に置かれ固定された状態になります。背骨に密着した深層筋は引き伸ばされ弾力性を失います。

長時間椅子に座っている腰部の筋肉や靭帯は、大きな荷重に耐えながら、エネルギーの供給がたたれた栄養不足の状態におかれています。椅子から立ち上がると、痛みはなくとも腰が伸びにくい感じがあると思います。これがデスクワークの影響があらわれるもっとも初期の形です。

腸腰筋が緊張し、腰椎部の関節が柔軟性をうしなった状態です。注意深く調べてみると、お腹のなかに硬いこわばりが生じていたり、脚が外股ぎみになっているのが分かると思います。

座って前屈みになった状態で自分の腰椎を触ってみましょう。腰椎が後ろに張り出し、ごつごつした骨の突起(棘突起)に触りやすい感じになるとも思います。次に、手は腰椎にふれたまま腰を伸ばして立ち上がって下さい。この時、腸腰筋に充分な弾力があれば、腰椎は前方に引っ張られすこし反った状態に移行します。もし腰椎が座った時とほとんど変わらない状態にあったり、立っているにもかかわらす後方に張り出したままにまります。

腸腰筋短縮の検査法

このような場合、他の人に押してもらうとと、自分の腰椎部がかなり硬いのが実感できるでしょう。また腰を後ろにそらそうとすると、板のように腰が反りにくいのが感じられると思います。

この状態が長く続くと腰部が硬化し、悪くすると下部の腰椎部に前方変位を生ずることがあります。腰を伸ばそうとしてギクっとなるやっかいな腰痛です。

次のような方法で腸腰筋をこまめにストレッチする習慣をつけて下さい。腰痛の予防法になるのはもちろん、肩や頚部の疲れにもよい影響があります。ただし、この方法はすでに腰痛を生じてしまっている人には、負荷が大きすぎて危険です。「やっかいな腰痛の対処法02」の体操をしてみて下さい。

腸腰筋に対するストレッチ