肩こりはなぜ起こるのか?


肩こりについて


 

肩こりの原因となる深層筋肩こりに悩まされている方々には、大きく三つのタイプがあります。精神的な影響の強い人、姿勢的な影響の強い人、消化器など内臓の緊張の強い人です。肩こりを感じ始める年代的にもおおむね3つの山があります。中学生のころから肩がこりはじめる人、20代になって仕事を始めてから肩がこりはじめる人、30代後半から40代になって急に肩がこりはじめる人です。
 
注意していただきたいのは、内臓の調子によっても肩がこってくることがあることです。胃腸が弱い方、呼吸器が疲れやすい方、甲状腺の機能に問題のある方などです。
 
なかには、内臓の疾患などによって肩こりがきつくなることがありますので、「たかが肩こり」といわず、身体のなかに変調を感じたときは病院に相談すべき場合もあることを知っておいてください。
 
頚椎の運動を制御する深層筋 いずれの場合も、肩こりを訴える方は、たんなる表面的な張りやこりにとどまらず、首や肩口の奥にある深層筋に強いの緊張があります。硬くなった関節やそれによって圧迫された神経の症状をいかに取り除くかが、肩こりを改善するためのかぎになります。
 
深層筋は、関節の動きを安定させたり、固定するのが役割の筋肉で、動作を引き起こす筋肉ではありません。疲れを知らず長時間にわたって持続的に活動できる筋肉(遅筋)です。
 
が、長い時間、姿勢を固めていると硬化して、本来の柔軟性を取り戻しにくくなるのが特徴です。その結果、肩の関節が硬くなり、神経や血管が圧迫されてさらに筋肉を硬くする悪循環に陥っているのです。
 
注意していただきたいのは神経根症です。深層筋の緊張によって背骨の関節が固定されると、「大切な姿勢の影響」で紹介した神経根症に陥り、関節の緊張がさらなる神経の緊張を招き、そのことがさらに関節を硬くする悪循環におちいります。
 
いざ緊張から解放され、くつろごうと思っても、このような関節はなかなか緩んだ状態になりません。ストレスなどで緊張を強いられることがあると、このような関節を通過する神経に強く響いて、肩が重かったり、取ってのけたいようなだるさに襲われるのです。
 
たんなる筋肉の張りや緊張であれば、休息したり入浴して血行をよくするとほぐれるのですが、肩を押したりもんだりするとかえってこわばりが強くなってしまうのは、このような場合です。
 
肩こりを解消するためには、表面的なもみほぐしではなく、深層筋と関節に対する調整が不可欠なのです。
 


肩こりのタイプと調整ポイント


精神的な影響の強い人は、日常動作のなかでなかなか肩の力が抜けないのが特徴です。子供のころから肩こりの傾向を持っている方が多く、ストレートネックの人、猫背の人にわかれます。
 
肩こりが強くなると精神的にも圧迫感が強くなり、寝ても身体の疲れが抜けない悪循環に陥りがちです。定期的に肩の緊張をほぐして、しっかりとよい休息をとれるようにしましょう。見違えるように首や肩が軽くなることが実感いただけると思います。
 
仕事を始めたころから肩こりがはじまったという人は、姿勢的な影響と精神低な影響が重なり合っています。仕事中は、誰もがある程度精神的な緊張を強いられています。それゆえに、日常動作ではなかなか起こりえない長時間の同一姿勢や同一作業への集中を保つことができます。
 
このような方は、手にしびれが出たり、頭痛やめまい、頬の筋肉の引きつれが強くなってきたときはよく注意をしましょう。しっかり睡眠が取れる状態を維持してゆきましょう。肩を含め、全身的な姿勢の調整が大きな意味を持ちます。
 
30~40代になって肩こりを感じはじめたという方は、まず、なにか身体に変調がないか疑ってみましょう。検査を受けてもとくに問題が見当たらないという場合は、ほとんどが姿勢的な影響です。
 
これまで肩こりの経験のなかった方は、一過性の「はり」や「疲労」と考えがちですが、「機能的姿勢を知ろう!」で紹介してきたように、姿勢の変化は少しずつ積み重なって身体機能に変化をもたらしています。
 
肩こりはそのような姿勢変化の積み重ねのなかで起こってくるものなのです。腰や骨盤、股関節、足首などをふくめて、全身の身体のバランスをよく見直してみるとよいでしょう。
 
このような方は、身体の状態にあわせた適切な体操や運動習慣をとりいれることで、肩のみならず、全身的に身体の調子をよい方向に転換するよい機会ととらえて、積極的に当院の施術をご活用いただくとよいと思います。